過去ログ - ペルソナっぽい悪魔設定のシェアワでお話を書いてみたい人集まれ
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171:仮面ニャルライダーホテップ第二話[saga]
2012/05/14(月) 12:49:28.90 ID:p/HgYA4x0
「なあ少年、諦めるなよ」

 いつの間にか車の落下は止まっている。
 それどころか大悟以外の全てが動きを止めている。

「人間には無限の可能性が眠っている」

「あ、あんた誰だ!?」

「俺に名前はない、だから一々気にするな
 比護大悟、君には素質と才能が有る
 俺と契約して神の力を使ってみたくはないかい?」

「だからなんなんだよお前は!」

「分かった分かった俺が何者かは教えてやろう
 俺はこのままでは家族や親友と一緒に若いまま死ぬ哀れな運命を背負った君を助けに来た神様
 いつもニコニコ貴方の隣に這い寄る混沌ニャルラトホテプなんぞ呼ばれている」

「あ、あんたなら僕達を助けてくれるっていうのか!?」

「いいや、助けるのはお前だけだ
 神の力を得るのはお前だけだからな」

「じゃあそれを使って助けろってことか
 良いぜ、契約でもなんでもしてやる!」

「おぉいおい、何時俺が無料でお前に力をくれてやると言った?」

「なんだよ!俺の命でもなんでもくれてやる!」

「違う違う、俺が欲しいのはお前の命じゃないんだ
 俺が欲しいのは…………」

 男は爆笑をこらえるような表情で続ける。

「この車に今乗っているお前以外の人間の命さ!」

 こらえきれずに笑う。
 ノイズ、ノイズ、ノイズ、騒々しい馬鹿笑い。

「なあどうする!?」

 ゲラゲラゲラゲラ、笑い続ける。

「このままじゃあ全員死ぬ」

 延々と笑い続ける。

「俺と契約したならお前一人だけは絶対助かる!」

 腹を抱えてヒィヒィ言っている。

「俺と契約しないならば皆死ぬ!
 この高さだからまず助からねえよ!
 こいつは悲劇だ!さいっこうに悲劇じゃねえか!
 他人の不幸でご飯がおいしい!」

 楽しそうな男とは対照的に大悟は真っ青な顔をしている。

「ぼ、僕は……」

 子供の頃は自分が正義の味方になれると思っていた。
 子供の頃は自分が世界を変えられると思っていた。
 子供の頃は自分がなんでもできると思っていた。

「どうする?ねえどうする?」

 比護大悟は正義の味方などではない。
 比護大悟は世界を変えられない。
 比護大悟は何もできない。
 眼の焦点が合わなくなる。
 口から乾いた笑みが溢れる。
 男はまだまだ笑い続ける。
 何時しか男と一緒に大悟も笑っていた。
 狂ったように笑っていた。

「僕は――――」


 こうして比護大悟は壊れた。


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