過去ログ - 結標「貴女なんて」白井「大嫌いですの」
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19:>>1[saga]
2012/03/25(日) 16:15:07.36 ID:twYxcOcAO
〜14〜

白井「うっ……」

冥土帰し「気がついたかい?」

時同じくして白井は冥土帰しの病院にて手術を終え意識を取り戻した。入院着に着せ替えられ、清潔なベッドに横たわる形で。

白井「――……わた、くし、は……――」

冥土帰し「うん、ここは僕の病院だよ?君はここに担ぎ込まれて来たんだよ。幸い、内臓には傷一つなかった。頑張ったね?」

その傍らに佇むはバイタルや事細かなチェックを手にしたリストに書き込んで行く冥土帰し。
白井は未だに切れていない麻酔に茫洋とする意識の中にあって、それを聞くとも無しに聞く。
外は未だ雪が降っているのか、カーテン越しに窓辺に落ちる影からまだ夜である事が伺えた。

冥土帰し「今付き添いの娘を呼んで確認を取らせてもらうよ?楽にしてくれて良い」

そう言い残して席を外し、病室を後にする冥土帰しの後ろ姿を見送りながら白井は思いを巡らせる。
犯人確保は一体どうなったか、自分は何と不甲斐ないか、度し難い失態を演じてしまった事。そして

白井「(付き添いの方とは……まさか)」

視界がホワイトアウトする刹那まで聞いた声音と、世界がブラックアウトする瞬間まで触れた手指、結標淡希。
朧気な感覚の中にあっても白井は微かに感じていた。自分のブレザーから止血剤を漁っていた彼女の手つきを。
朦朧とする意識の中であっても白井は確かに覚えていた。自分に応急処置しながら電話をかける彼女の横顔を。

白井「(……何故、貴女がわたくしを)」

自分と似通った力を持ちながら相容れない存在、白い雪と赤い髪、微かに香るアクア・アレゴリアの匂い。
一つとして纏まらない点、一つとして結ばれない線、一つとして重ならない面、『結標淡希』と言う存在。
ただ一つわかったのは、死んでも助けられたくない相手に命を救われた事に対する、言いようのない感情。

冥土帰し「手短にね?」

固法「はい……白井さん!この馬鹿!!」

白井「(嗚呼)」

そして付き添いの人間と言うのが結標ではなく固法であった事に対し覚える大きな安堵と小さな落胆。
白井は酸素マスク越しに『ごめんなさい』と唇を動かして謝意を示すと、固法がギュッと手を握った。

白井「(貴女ではありませんのね――)」

ここにない御坂の暖かい手ともここにある固法の温かい掌とも違う、細く長く白く冷たい指先の記憶――





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