過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その７ -SS速報VIP

過去ログ - 真・恋姫無双【凡将伝】その７

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33:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.[saga]
2012/03/27(火) 23:18:40.15 ID:jFsjikz6o
ぱちり。

焚火が爆ぜる音で理性が甦る。

酔っていた意識が理性を取り戻す。

うわあ。

思えば、どうしてあんな振る舞いを、あんな言葉を。
後悔、そんな生易しいものではない。もっとおぞましいなにかだ。

「詠ちゃん……」

きゅ、と自分を抱きしめてくる男が既に腹立たしい。
自分の好意を確信している行為が腹立たしい。

自分は、賈駆という存在はそんなにお安い女じゃあないのだ。

だから。

がり。

「痛っ！？」

狼狽する男の様子に愉悦を覚える。
さらに。

がじり。

「いた！詠ちゃん？痛いってばよ？」

にやり。

なんだ、こんなにも容易い。容易いじゃないか、と彼女は更に噛り付く。

「だから、結構、いやほんと痛いってば！」
「ボクは痛くないけど？」

文句など、おこがましい。

更に力をこめて肩口に噛みつく。
鍛え上げられた筋肉は彼女の脆弱な顎を拒絶するが。

「いや、詠ちゃん？ほんと痛いんですけど。そんなに噛まれたら跡が付くんですけど？」

くす。

蠱惑的な笑みを浮かべて彼女は応える。

「別に、ボクは困らないもの」

更に力を込める。

跡が残るくらいで困るなら、困ればいいのだ。
こんなにも、こんなにも自分を翻弄しているのだ。
少しは困ればいいのだ。

がじり。

そんな思いと共に彼女は渾身の力で噛みつく。

男は、戸惑いながらも、女が噛むに任せていた。

新月の夜のことである。

まだ、彼女らが屈託なく笑い合えていた頃のことである。

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