過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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469: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/07/26(木) 03:23:38.01 ID:EBKYw+nEo



 独り席で呆けていたマミは、頬を伝う感触で我に返る。さっと目元を拭うと、指は濡れていた。
 思い出してまた自然と泣いていたのか。周囲を見回すが、幸い誰にも見られていなかったらしい。
 マミは軽く溜息をつくと、机に置いていたプリントを白紙のまま乱暴に鞄に突っ込んだ。

 金の面倒を見てくれている親戚は何と言うだろう。
高校くらいは行かせてもらえるだろうが、特に興味も持てなかった。
 一寸先は闇という状況下で、しかもどの道を行こうが、果てに待つのは絶望のみ。
これでは歩くこと自体が無意味だった。

 現在マミの関心は今日の放課後、それも下校後にしか向いていない。
 二人に真実を伝えたら、距離を置こう。あとは彼女たち個人の問題だから。
 
――私は頼れないけど、彼女たちはまだ縋れる。彼に、黄金の光明に。
だから私なんかとは関わらない方がいい。巻き込んでしまうかもしれないし、私も惨めになるだけ。
大丈夫、怖くない。だって私には――

 全部なくなったと思い込んでいたけど、ひとつだけ残っていた。
 一人の女性の笑顔を思い浮かべると、心が少し軽くなり、早く会いたいと期待に胸が躍る。
 魔法少女とも魔戒騎士とも関係ない彼女となら一緒にいられる。
たまに会って話を聴いてくれるなら、それだけで充分だった。

――でも、昨日会ったばかりの私を、命さんは本当に友達だなんて思ってるの……?

 キュゥべえとの件もあって疑心が生まれるが、すぐに頭から追い払った。
 気分が沈んでいる今は何も考えない方がいい。負の思考にばかり囚われてしまう。

 忘れようと、ふと頬杖をついて窓の外を見ると、雲ひとつない春の青空が広がっていた。
 綺麗だという言葉は浮かんでも、心は暗く淀んだまま。
 昨夜だって、どれだけ泣いても心は晴れなかった。結局、忘れられるはずがないのだ。

――私は間違っていたのかしら……。

 真実なんて知らずに死んだ方が幸せだったのだろうか。
 憂いと迷いを湛えた瞳には後悔が浮かんでいた。



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