過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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◆ySV3bQLdI.
[ saga]
2012/08/07(火) 02:47:53.82 ID:fZ6/9zuSo
「これ、美樹さんにあげようと思ってたの」
「これ……楽譜?」
五線譜の上に踊る音符。音楽の授業でも見た、それは確かに楽譜だった。
もっとも、読み方はほとんどわからなかったが。
「ヴァイオリンの楽譜。昨日、家に帰ってから探して見つけたの」
「へぇ、夕木さんヴァイオリン弾けるんですか?」
さやかは初めて好意的に問い返した。
恭介の件でさやかの態度は軟化し、徐々に命に気を許し始めていた。
目を閉じた命はゆっくりと首を振る。
「私じゃないわ。これね、私の恋人が作った曲なのよ。曲名もない、作りかけの曲」
やがて目を開くと、命は遠くを見つめた。
想い出を懐かしむようでもあり、辛い過去を悔やむようでもあった。
その目からは、とても幸せなエピソードを期待できるとは思えず、
「でも、彼は事故で二度とヴァイオリンが弾けなくなってしまった」
予想通り、悲しい結末が語られた。
さやかはハッと息を呑む。
事故でヴァイオリンを弾けなくなった男。
それを傍で見ていた女。
多少の差異はあれど、さやかは今の恭介と自分に重ねた。
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