過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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579: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/09/03(月) 02:19:05.87 ID:cjJ5eeRJo

 その一言を零が発した瞬間、空気が変わった。
 どうやら、一言でも杏子を刺激するには充分だったらしい。

「テメー……」

 杏子は静かに身を乗り出し、零の胸倉を掴む。声こそ荒げていないが、彼女の怒りは本物だ。
 昨日、挑発した時もそうだった。嵐の前触れのように穏やかになっているのが、逆に危険信号なのだ。
 その髪は赤く、しかし表情は青いまでに白い。
 
 青く静かに燃える炎。
 今の杏子を表現する最適の言葉。
 その青い炎に間近で晒されても、零は薄い笑みを絶やさなかった。

「ぶっ殺すぞ……あたしは食い物を粗末にする奴は許せねーんだ……!」

 テーブルにはまだケーキ、プリン、タルトなどなどが大量に残っている。
どれもこれも、まだ手も付けられていない。ドロドロに溶けたアイスなど、残っても捨てられるだけだ。
 大量に頼んでおいて半分近くを残すなど、杏子でなくとも眉をひそめる行為。

 ただ彼女の場合、他にも隠された何かがある。零に対する怒りも、そこから来ている。
 その何かの正体に朧気にでも気付いていながら、敢えて零が口にしたことも杏子を駆り立てていた。

「だったら、あんこちゃんが手伝ってよ」

 と、零は胸倉を掴まれたまま、しゃあしゃあと言ってのけた。
 あからさまな挑発。が、単なる挑発ではない。
彼が無意味にこんなことをするはずがないと、杏子もまた見抜いたのだろう。
でなければ、とっくに槍を握り、零に向けている。

 だからこそ、企みに乗るのは癪と考えた。怒りよりも、いいように動かされる方が気に食わないと。
 その証拠に杏子は零を睨んで動かない。零も口を開かない。
 そして、先に折れたのは杏子だった。




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