過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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62: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/04/07(土) 02:35:42.62 ID:7tfJJhllo

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 鋼牙は左手を胸まで上げながら、廃ビル内を歩く。ビルの中には一切の気配はなく、
しかし粘りつくような淀んだ空気が溜まっていた。

「どうだ、ザルバ?」

『残留思念を感じる。これは相当な数の人間が喰われてるな』

 薄暗い廃墟を見回しても、あるのはコンクリートの壁と瓦礫と寒々しい空白。
結界内で行われる殺戮と捕食は、目で見る景色からは痕跡を発見できない。
 魔戒騎士の勘が何かあると告げてはいるものの、詳細までは知る由もなかった。
頼みの綱は、やはりザルバなのだ。優秀なレーダーがなければ、騎士も力を振るえない。

 鋼牙は時折ザルバと会話を交わしつつ、十数分かけてビルを一通り歩き、屋上まで上がってきた。
 夕暮れの冷たい風は少し寒いが、戦いで火照った身体には心地いい。
遠くビルの谷間に日は沈み、じきに夜の帳が下りようとしていた。

『ふぅ……ようやく、すっきりしたぜ』

「ザルバ。何故、ここに来るまで探知が曖昧だった?」

 ザルバが一息ついたのを切っ掛けに、鋼牙は、ずっと引っ掛かっていた疑問を口にした。
マミの部屋を出て、ここに向かう間、ずっとザルバの受け答えは曖昧だった。
 普段の彼であれば、まず考えられない不調。
場合によっては魔戒法師にメンテナンスを頼まねばならないが、今は問題ないのが不思議だった。



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