過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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635: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/10/01(月) 03:00:00.71 ID:RipvUQ6So

 中学生と大人の二人組。一見した限りでは、あまり接点のなさそうな組み合わせだ。姉妹にも見えない。
 どちらも楽しそうに談笑していた。
耳を澄まして集中すると会話の内容まで聞き取れたが、どれも他愛のない雑談だ。

 学校や友人の話、或いは恋の話。どれも杏子には願っても手に入らない過去のもの。
 ふと、チクリと微かに胸の奥を刺すような疼くような痛みを覚えたが、杏子は無視して零に問う。

「で、どっちがホラーなんだ?」

「ああ、それは……あっち」


 と言って零が指し示したのは――中学生の少女の方だった。
 

「あいつが……!?」

 杏子は半立ちになって、まじまじと少女の方へと目を凝らす。
 どこからどう見ても、ただの人間。
笑ったり唇を尖らせたり、ころころ表情を変える、どこにでもいる一般的な中学生。
 
 とても化け物が取り憑いているようには見えない。
ましてや、そのすべてが偽り、演技であるなど信じ難い。まだ向かいの女の方があり得る。
 零がしようとしていることは、そして決闘に応じる条件として杏子に提示したことは。
 

「そ、あんこちゃんには、彼女を殺してもらいたいんだよね」


 あの見るからに無垢な少女を殺すこと。
 零は軽々しく残酷な要求を言ってのけた。
 



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