過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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639: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/10/01(月) 03:11:00.53 ID:RipvUQ6So

 本当は、言いたいことは決まっている。
それを言っていいのかと、ほぼ無意識に躊躇いを感じているのだ。
 誰かを犠牲にしたくない。間接的にではあるが、救いたいという気持ちの表れ。

 だからこそ口にすることに抵抗があった。
 これまでの生き方が枷になっていた。
 過去から今に至るまで多くのものを切り捨ててきた。
そんな自分が今さら誰かを救いたいなどと、おこがましいのではないか。

 そして、それは苦しんだ末に固めた決意を、信条を曲げること。
 杏子にとっては自らを否定するも同然。
 認めてしまえば、胸の奥に封印した何かを掘り起こすことを意味する。

――そもそも、どうしてあたしは、こんな面倒な思いしてまで、こいつに従ってんだ。
こいつが勝手に決めた条件に従う必要なんかない。
こっちから問答無用で仕掛けてやれば、こいつだって拒めないはず……。
 こんなとこ、さっさと出てって仕切り直せばいい。でも――

「今になってやる気がなくなった? 嫌なら別に構わないけど」

――いや、ダメだ。たとえあたしがやんなくても、こいつがやるだけ。
それならいっそ、この場でこいつを……って、そんなことして何になるんだか――

 いくらなんでも、それはない。
 人を喰うホラーとやらに憑かれた少女を生かす為に、零に刃を向ける。
 そんな、あまりにも馬鹿げた考えが頭を過ぎった。

 見ず知らずの少女の為に、そこまでする義理がどこにある。
 だいいち過干渉であることに違いはない。
 杏子は、改めて自身の混乱を自覚する。



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