過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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725: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/10/27(土) 02:59:11.75 ID:U5eNztmHo

 命が放った蹴りは、寸分違わず零の眼前で炸裂した。
 が、零が仰け反り倒れ伏すことも、命が勝利の微笑を浮かべることもなかった。
 打撃音の後は再び静寂が還る。漆黒の闇の中、どちらも動きはしない。
 特に零は、その黒尽くめの服もあってか、完全に闇に同化していた。

 右足は高々と上げられたまま、空中で不自然に停止していた。
しかし完全な静止ではなく、絶えず小刻みに前後している。
 命の足は、零の顔を蹴り砕くには至っていなかった。
むしろ拘束された足を振り解かんと足掻いているのだ。

 直撃の瞬間、零は回避は不可能と、右腕で受け止めていた。同時に、左手は足首を掴んで離さない。
 まだ人の姿を取っていると予測したから。なおかつ、狙うなら首か顔だろうと思っていたから防げた。
 2,3秒の間、両者は拮抗していた。
命は思うように動きが取れず、零は零で空いた右手で反撃をしない。

「やっと出てきたな、ホラーさんよ……!」

 しないのではなく、できなかった。呼び掛けも、少しでも時間を稼ぐ為。
 少々無理な態勢で防御したせいか、上手く衝撃を殺し切れなかった。
右手が痺れと、痺れを上回る痛みで拳を握れない。

 暫くすれば回復するだろうが、そんな暇を与えてくれるはずがない。
たかが十数秒でも、ホラーとの死闘では生死を分けることもある。

 仕方がなかった。
 零の左手の甲にはシルヴァがいる。
 左手で受ければ、シルヴァを傷つける恐れがあった。
 もう二度と、彼女が代わりに傷付き、壊れるのは嫌だったから。




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