過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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749: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/11/06(火) 03:12:19.97 ID:VPkeJGs0o

 話には聞いていたが、その姿は異様としか言いようがなかった。
 恐ろしく、醜悪な容貌自体はホラーとしては珍しくないが、最も特徴的なのは両肩の輪。
右の輪の中には炎が、左には氷の結晶を思わせる水色の物体が。
 既に零も味わっている、切り離して自在に飛び回る腕も、付け根に肩と同色の光があった。

 情熱と哀しみを表しているかの如き炎と氷は、
闇の中で煌々と輝き、不覚にも美しいと感じてしまう。
 しかし、この炎が人を焼き、氷が人を凍らせて砕く。
故に、この世界に絶対にあってはならない光。

 ホラーは何も語らない。もう命の名残は、どこにも残っていないのだろうか。
 零は少し考えて、無意味だと首を振る。どの道、ここに至っては言葉など無用。
 人を喰い、人に憑依するホラーと魔戒騎士は決して相容れない。殺し合うしか道はないのだから。

 戦いは睨み合いから何の前触れもなく、静かに始まった。
 掛け声も合図もない。それぞれ相手の思考を察し、結果ほぼ同時に動いた。
 零が双剣を手に駆け出し、ホラーの両腕が飛ぶ。

 モロクの攻撃に対し、零は正面から突き進む。
 飛ばせる両腕は想像以上に素早く、変幻自在。
遠距離、少なくとも視界が届く範囲はモロクの独壇場である。勝つには近距離で戦うしかない。

 左の剣で確実に切り払い、右の剣は撫でるように逸らして避ける。
右手の握力さえ戻り切っていれば、右も難なく弾けたのだが。
 と、嘆いてみても仕方ない。零は一気に距離を縮めた。

 連続して襲い来る腕をかわす度に手の痺れは強まる。
 気を抜いて剣を落とせば、即座に死に至る緊張。ほんの数メートルが遠い。




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