過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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780: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/11/14(水) 02:25:17.61 ID:fguhyBUEo

「そんなところが堪らなくムカつくんだけどな……!」

 ギリ、と歯を噛み締める杏子。
 この街に戻った理由は、既に杏子自身にも曖昧になっていた。

 最初は零への対抗意識から、零を倒したらすぐにでも帰るつもりでいた。
それが売り言葉に買い言葉で街に残ると宣言してしまい、
自分でもどうしたらいいか揺らいでいる。

 ただ、零に負けたくない気持ちに偽りはない。
 だから今は余所見をしないでおく。
 目を閉じ集中するよりも、獣のように爛々と闇を睨み、闘争心を昂らせる。
 心を一方だけに向けていよう。かつてのパートナーへの未練が芽生えないように。
 
 人を手のひらの上で弄んで面白がるところがムカつく。
 そのくせ護ってやっているつもりなところがムカつく。
 頭の中に憎い男を浮かべる杏子だったが――。

 ふと、考えてしまう。

 自分がイラついているのは、彼が気障りな人間だからではなく、むしろ逆。
 もしかすると、彼は飄々としているようで強くて気高くて、優しくて。
 自分とは何もかも違う、まさしく騎士なのではと。

――あたしは……あいつを越え甲斐のある壁だと思ってた。
 けど力でねじ伏せたとして、あたしは満足できるのか?
 本当は、超えたいのは力じゃないのかもしれない。
 でも、それが無理だとわかってるから、憎らしいのかも――



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