過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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◆ySV3bQLdI.
[saga]
2012/12/11(火) 02:38:12.81 ID:mzUXsX6Bo
双剣を手に、悠然と立つ銀狼――ゼロに、杏子は声を掛けられなかった。
頭の中を疑問が駆け巡り、とても口にできなかった。
そもそも、あれは本当に涼邑零なのだろうか。
などと棒立ちで考えていると、
「サンキュー、あんこちゃん。後は俺に任せてくれていいぜ」
ゼロの厳めしい見た目とは裏腹の軽い声。ただし、その声はくぐもって響く。
この声。この口調。何より、あんこちゃんという呼称。
杏子は確信する。やはり、あれは零だったのだと。
「あ……あんた……」
言いかけて言葉に詰まる。
そう言えば、彼のことを何と呼べばいいのだろう。何と呼んでいただろう。
これまで、あんただの、テメーだのと、名前で呼んだことなど一度もない。
かと言って、今さら名前や名字で呼ぶのも抵抗があった。
ガシャリと重厚な音を鳴らし、ゼロが一歩を踏み出した。
直後――杏子同様、ゼロを向いて唖然としていたホラーが行動を起こした。
一歩も動かず、その顔はゼロの一挙手一投足を注視したままで。
ホラーの唯一の天敵。それこそが魔戒騎士。
ならば杏子のように、愚鈍に突っ立って見ているだけな訳がなかった。
見落としていた。
相手は古から戦い続けている魔獣。
敵を殺す為に。生き残る為に。最大限の力を尽くすはずなのに。
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