過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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874: ◆ySV3bQLdI.[saga]
2012/12/11(火) 02:38:12.81 ID:mzUXsX6Bo

 双剣を手に、悠然と立つ銀狼――ゼロに、杏子は声を掛けられなかった。
 頭の中を疑問が駆け巡り、とても口にできなかった。
 そもそも、あれは本当に涼邑零なのだろうか。
 などと棒立ちで考えていると、

「サンキュー、あんこちゃん。後は俺に任せてくれていいぜ」

 ゼロの厳めしい見た目とは裏腹の軽い声。ただし、その声はくぐもって響く。
 この声。この口調。何より、あんこちゃんという呼称。
 杏子は確信する。やはり、あれは零だったのだと。

「あ……あんた……」

 言いかけて言葉に詰まる。
 そう言えば、彼のことを何と呼べばいいのだろう。何と呼んでいただろう。
 これまで、あんただの、テメーだのと、名前で呼んだことなど一度もない。
 かと言って、今さら名前や名字で呼ぶのも抵抗があった。

 ガシャリと重厚な音を鳴らし、ゼロが一歩を踏み出した。
 直後――杏子同様、ゼロを向いて唖然としていたホラーが行動を起こした。
 一歩も動かず、その顔はゼロの一挙手一投足を注視したままで。

 ホラーの唯一の天敵。それこそが魔戒騎士。
 ならば杏子のように、愚鈍に突っ立って見ているだけな訳がなかった。

 見落としていた。
 相手は古から戦い続けている魔獣。
 敵を殺す為に。生き残る為に。最大限の力を尽くすはずなのに。




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