過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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876: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/12/11(火) 02:44:56.47 ID:mzUXsX6Bo

「――がっ!?」

 と、呻いて耳を押さえた。
 突然の耳鳴り。次いで耳と頭に響く激痛。
 耳鳴りは次第に連続した音となり、やがて旋律を奏で始める。
 甘く、優しい旋律を。

 耳を塞いでも音色が入り込んでくる。痛みも一向に止むことはない。
 音が直接、脳を引っ掻いているかのよう。
 できるなら両耳を千切り、頭蓋を開いて脳を取り出したくなる。

「っ……くぁ……! んだ……これっ……」

 三半規管まで狂わせているのか、酷い目眩が襲う。
 視界が回る。世界が回る。
 上下左右の認識もあやふや。

 遂には立っていられなくなり、膝をつく。
 吐き気が込み上げ、胃の中身が喉までせり上がっていた。

 目を閉じると、少しだけ気分が楽になる。
 杏子が完全な闇に微かな安息を得ていると、目を閉じたままなのに、
ぼんやりと揺れない景色が映った。
 
 しかし、それは死の直前に見るという走馬灯ではなく。
 目蓋の裏に映るのは、杏子の見ず知らずの男女の姿。
 いや、女には覚えがある。
 ついさっき、零と一緒に見たばかりの顔。ホラーが取り憑いていたはずの女。
 先ほどまでの妖しい雰囲気は感じられず、幸福感に満ちた笑顔を男に向けていた。




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