過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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879: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/12/11(火) 02:53:25.74 ID:mzUXsX6Bo

 ひとつは諦観。
 どうせ友達も、恋人も、家族もいない。学校も、帰る家もない。
 夢もなければ、生に執着する理由がない。
 すべて諦め、奪われる前に自ら捨てることで絶望を回避し、人として死ぬ。

 ひとつは懇願。
 独力でどうにもならない今、頼れるとしたら一人だけ。
 あの光の騎士に、銀の狼に――涼邑零に一言「助けて」と叫べば、彼はきっと救ってくれる。
 二週間にも満たない付き合いの杏子だが、好き嫌いは別として零はそういう人間だと思っていた。
 そして、あの騎士には、無条件でそう信じさせる何かがあった。

 重い目蓋に力を込めて、ゆっくりと目を開く。
現実の景色と並行して、視界の端では幻が躍っている。
 奇妙な感覚だった。

 ゼロは双剣で両腕と打ち合っていたが、どちらが優勢かまではわからなかった。
 ただ、時折こちらを気にしているのは確かだった。

――助けてくれ。

 その言葉が喉元まで出かかって――杏子は飲み込んだ。

――いいや! ダメだ!
  
 歯を食い縛り、首を振り、闘争心を揺り起こす。
 日々を生きているだけの杏子にある、現状では最大とも言える執着であり目的。
 涼邑零に勝ち、彼を超えること。
 なのに助けを乞うなんて、敗北宣言に等しい。自分から無理だと認めているのと同じだ。




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