過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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942: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2013/01/12(土) 04:04:18.63 ID:4pqoiOsuo

 ドォン、という轟音と共に、少年に車が衝突。細い身体は、いとも軽々と宙を舞う。
 少年は数メートルほど飛ばされて道路を滑り、止まってからもピクリとも動かない。

 割れて片目になったライトが照らし出す。
傘は無残にへし折れ、流れる血でアスファルトを染めながら、
それでも少年はヴァイオリンを放さなかった。  

 その有様を、女は傍の物陰から見ていた。
突き飛ばしてすぐに隠れたので、運転手には目撃されていないはずだが、のんびりしていられない。
 混乱する運転手の叫びを尻目に、女はその場を走り去った。

 途中、何度も足をもつれさせながら、どうにかマンションの自室に帰り着く。
 息が荒いのは走っていたからか。それとも、別の理由か。
 いつまで待っても、呼吸が治まらない。これ以上ないくらいに昂揚していた。
 
 数十分前を思い返すと身震いする。
とんでもないことを、しでかしてしまった。

 激突の瞬間、少年はヴァイオリンを庇った。
 地面に叩きつけられる時でさえ、己が身を挺して衝撃から守った。
 彼にとって何よりも大切な物を、まるで我が子のように抱き締めていた。

 その結果、車と接触したのも、ヴァイオリンと路面に挟まれて潰れたのも、彼の左手。
 あれでは生きていたとしても、再起は難しいはず。
 そんな判断が咄嗟にできるくらいなら、むしろ楽器なんて捨てるか盾にすべきだったのだ。

 本当に馬鹿な子。




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