過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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943: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2013/01/12(土) 04:06:51.69 ID:4pqoiOsuo

 くつくつと、自然に笑みが零れる。 
 不安、恐怖、後悔。
 もちろん、それらもある。
 ただ、上回る歓喜があった。爽快で、痛快だった。すべてを押し流す圧倒的な愉悦。

 やりたいと思い、やれそうだった。
だから行動に移したら、できてしまった。
ただ、それだけ。こんなにも簡単なことだったのだ。

 あんなに恐れていた罪とは、禁忌とは、いったい何だったのか。
 忍び笑いは、いつしか声を上げた哄笑に変わっていた。

 数日後、少年が市内の病院に搬送され、一命を取り留めたと知る。
 少し残念に思ったが、続けて経過を調べていくと面白いことがわかった。
 身体の怪我はそれほど重くはないが、左手はかなりの重傷で、回復の見込みは薄いらしい。
少なくとも完全に元通り動くまで回復することはない、と。

 手段を選ばずに探った甲斐があった。
何日も、何時間も費やした苦労が一気に報われた気がした。

 快哉を叫びたい気分。
 壊れずとも後遺症が残るなら、それで良し。天才は戻らない。それだけでも喜ばしい。
焦る必要はない。もしも復活するようなら、また潰せばいいのだ。

 ある意味では死よりも辛い生き方だろう。残骸になった夢に囚われてなお生き続けるのは。
その惨めさと虚無感は、誰より女がよく知っていた。


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