過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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◆ySV3bQLdI.
[ saga]
2013/01/12(土) 04:13:34.50 ID:4pqoiOsuo
その夜も女は、いつものように人を殺し、いつものように後始末をして帰宅した。
底冷えする部屋で明かりも暖房もつけず、まっすぐテーブルに向かう。
卓上にぽつんと置かれているのは、大きめなクリスタルの灰皿。
中には灰が山と積もっている。
タバコは、薬に頼るほどではないが気分を落ち着けたい時に重宝していた。
もっとも、本来の用途はついでに過ぎない。主な目的は他の物を燃やすことにあった。
女が懐から取り出したのは漆黒の手袋。
さっきまで身に付けていたそれには、所有者以外の血が付着していた。
女は手袋にライターで火をつけると、灰皿に投げ込んだ。
殺しも含め、ここまでが習慣として染みついている。
赤と青。
氷のように冷え切ったクリスタルの上で炎が躍る。染み込んだ血と女の罪を呑み込んで。
犯行に使用した手袋は、その都度この灰皿で燃やしていた。
血が目立たないよう、色は常に黒。あの日から白い手袋は一度も身に付けていない。
暗い室内で唯一の光を、女は微動だにせず、無感情に見つめていた。
胸に様々な感情が駆け巡る。正も負も、喜びも悲しみも入り乱れる。
この時間だけは、女は人間に戻っていた。
やがて手袋は完全に燃え尽き、部屋が闇に包まれる。
そういえば、始まりのあの日から捨てていなかったと、女が灰を掻き分けた瞬間。
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