過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
1- 20
945: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2013/01/12(土) 04:13:34.50 ID:4pqoiOsuo

 その夜も女は、いつものように人を殺し、いつものように後始末をして帰宅した。
 底冷えする部屋で明かりも暖房もつけず、まっすぐテーブルに向かう。
卓上にぽつんと置かれているのは、大きめなクリスタルの灰皿。
中には灰が山と積もっている。
 
 タバコは、薬に頼るほどではないが気分を落ち着けたい時に重宝していた。
 もっとも、本来の用途はついでに過ぎない。主な目的は他の物を燃やすことにあった。
 女が懐から取り出したのは漆黒の手袋。
さっきまで身に付けていたそれには、所有者以外の血が付着していた。

 女は手袋にライターで火をつけると、灰皿に投げ込んだ。
 殺しも含め、ここまでが習慣として染みついている。

 赤と青。

 氷のように冷え切ったクリスタルの上で炎が躍る。染み込んだ血と女の罪を呑み込んで。
 犯行に使用した手袋は、その都度この灰皿で燃やしていた。
 血が目立たないよう、色は常に黒。あの日から白い手袋は一度も身に付けていない。

 暗い室内で唯一の光を、女は微動だにせず、無感情に見つめていた。
 胸に様々な感情が駆け巡る。正も負も、喜びも悲しみも入り乱れる。
 この時間だけは、女は人間に戻っていた。 

 やがて手袋は完全に燃え尽き、部屋が闇に包まれる。
 そういえば、始まりのあの日から捨てていなかったと、女が灰を掻き分けた瞬間。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/567.33 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice