過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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946: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2013/01/12(土) 04:17:56.48 ID:4pqoiOsuo

 何かが、灰皿から立ち昇った。
 暗中でもはっきり視認できるのは、それが闇よりも黒いせい。

 墨?
 違う、これは――――灰だ。

 灰の中から見たこともない文字が連なり、恐ろしい形相の怪物を象ったかと思うと、
端から解けて女に襲いかかる。
 目、耳、鼻、口。
 逃げる間もなく、すべての穴から女の内に流れ込み、蝕んでいく。

 薄れゆく意識で思う。
 逃げられなかった、と。
 たとえ灰になろうとも、燃え尽きるはずがなかった。
積もり積もって形を成すほどに。

 あり得ない状況に恐怖すると同時に、
追いかけてきた罪に絡め取られたと悟った女は、安らいでもいた。
 何故なら、罪は癒しであり、慰めでもあったから。

 ゆえに、罪に塗れた死は断罪であり、救済。
 女は静かに、黒い文字の奔流を受け入れた。

 蓄積された陰我は、灰皿を魔界とのゲートに変えていた。
すべてが終わった時、女の魂は現れた魔獣、ホラーに喰われた。
 しかし歪んだ意思の一部、陰我は身体を乗っ取ったホラーと同化し、生き続ける。
 女が本物の悪魔となった瞬間だった。




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