過去ログ - 勇者「淫魔の国の王になったわけだが」
1- 20
136: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2012/03/27(火) 03:53:10.11 ID:h7sEMOtHo

――暖かく重る毛布と掛布団の感触が、彼女には心地よく感じた。
悪寒に満たされ、ぎこちなく凍てつくような関節は、思うように動いてはくれない。
誇り高き戦乙女が、「淫魔」の国で斯様な醜態を晒しているというのに。
それでも、彼女は…安心したように、眠っていた。
体は暖かく包まれ、火照った顔は、やわらかい外気に撫でられて心地よく。
戦争状態にないと言っても、「淫魔」と「戦乙女」は相容れない存在なのに。
寝首を掻かれる、という危惧すら抱かず、むしろ愚鈍と表現するのが相応しいほどに。

ふと、扉が開く音を意識の底で聞いた。
車輪の音とともに、高く響く靴音が近づいてくる。
体を起こそうとしても、気怠さと悪寒に支配された体は、指を動かす事さえ叶わない。

瞼越しに、暖かな気配が近づく。
その気配は瞼の上を通り、額へと当てられた。
「何者か」の手が、額へ優しく載せられる。

身じろぎ一つせず彼女はその手を受け入れ、むしろ、より深い安堵をもたらされた。

その「手」は、あまりにも優しかった。
暖かく、柔らかく、爪の先までも温もりが通っていそうな手。
よく知る「主神」とも違う、触れられているだけで、心の隅の隅までも満たされるように。
顔の筋肉がほどけ、安らかな寝顔は「微笑み」を湛えはじめる。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/386.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice