1: ◆TctB4xXhw6
2012/03/26(月) 22:17:24.50 ID:GMjs75iK0
  
    
   ――風の音がする。  
    
    
    
   荒々しく唸りを上げながら、暴風が地を這い廻る。  
    
   耳障りなその音は、どこか悲鳴にも似ていた。  
    
   渇いた大地が削られ、枯れた木々は葉を散らし、時にはその身をも砕かれる。  
    
    
   上天は清々しいほどの青空。  
    
   しかし、そこを飛ぶ鳥は今はいない。  
    
   大地にもまた、命あるものひとつすら、在りはしない。  
    
   あるのは朽ち果てた数多の骸と、無数の鉄屑のみ。  
    
    
    
   そこは死に絶えた地。  
    
    
    
   ……それが、俺の知る唯一の景色だった。  
    
    
  
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2: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:18:23.87 ID:GMjs75iK0
  
 男 「――――――――」 
  
 男 「――――……」 
  
3: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:19:24.62 ID:GMjs75iK0
  
  言われるままに体を起こし、自分の体を見回す。 
  何故か包帯だらけだが、特に痛みはない。 
  
 男 「…………」 
4: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:20:52.97 ID:GMjs75iK0
  
 ‐森はずれの村‐ 
  
  
 ? 「あんちゃん、こっちっす!」 
5: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:22:05.63 ID:GMjs75iK0
  
  当のおっさんはといえば、農作業の続きがあるからと去っていった。 
  
  無防備だ、無警戒だと抗議したものの、逆に信用されてしまったのが謎だ。 
  
6: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:23:26.07 ID:GMjs75iK0
  
  そんなやり取りの合間にも、娘はあっちにふらふらこっちにうろうろ。 
  落ち着きとは無縁な動きをしながら、時々こちらを振り返ってじっと待つ、ということを繰り返す。 
  
  なんとなく、散歩中の犬を連想した。 
7: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:24:08.41 ID:GMjs75iK0
  
 男 (なにこの子可愛い) ナデナデ 
  
 わんこ 「うぃ? ふゃ〜ん……」 ナデラレー 
  
8: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:25:15.28 ID:GMjs75iK0
  
 わんこ 「えーへーさん、おはようっす!」 ビシッ 
  
 衛兵 「おはようコロちゃん」 
  
9: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:26:19.82 ID:GMjs75iK0
  
 衛兵 「あれ? 名前違いましたっけ」 
  
  それでようやくピンときた。 
  
10: ◆TctB4xXhw6[saga]
2012/03/26(月) 22:27:11.08 ID:GMjs75iK0
  
 ‐森はずれの村 駐在所‐ 
  
  
 衛兵 「記憶喪失」 
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