過去ログ - 男「魔王でもいい」
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132: ◆TctB4xXhw6[saga]
2013/04/21(日) 17:56:24.40 ID:BU3yrVnS0

 初めに見えたのは、2本の巨大な爪。

 雨に濡れ不気味に煌めくそれは、木板を深く貫いて力任せに押し破った。

 次に見えたのは淡く光る両眼を持つ、蟹のような顔。

 そして、背中の砲筒。


兵士「おいおいマジかよ!」

騎士「総員退避! すぐにここを離れろ!!」


  ミシミシミシベキベキッ!


「やばい、崩れるぞ急げ!」

「早く馬車に乗り込め!」

「なんだってんだくそっ」


 エリック氏の言葉に従い、全員が一斉に小屋の外へ駆け出す。


男「わんこ、行くぞ!」

わんこ「はいっす!」


 手を引いて後に続く。


『――――』


男「っ」ゾクッ

男(視線……?)

兵士「早いとこ行け! 巻き込まれっぞ!」

男「あ、ああ」


『…………』



勇者「おーおー大胆だこと」

聖騎士「ここはもういい。この隙に魔王城を目指す」

勇者「あいよ。さーて、どんだけ殺してくれることやらね」


 いよいよ勢いを増す雨の中、二つの影が言葉を交わし、姿を消した。





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