過去ログ - まどか「誰かが求めた幸福」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/03/28(水) 06:46:05.32 ID:2GPEYJFx0
キリカ「……熱は下がったみたいだな。雑炊、食えるか?」

織莉子「ええ……ごめんなさい、私のために」

ゆま「人と人は、助け合う生き物だって、テレビが言ってた」

キリカ「……しかし、なんであんなところ、それも独りで? あそこはもう荒れてて、電気も通ってないって聞いたけど。それに、あの家って、確か美国議員の……あ、もしかして……」

織莉子「……そう、私の名前は美国織莉子」

キリカ「……道理でね。でもよ、親戚の家には……」

織莉子「……鼻つまみ者にされてるの。お父様が、ああだったから……政治家家系だから、余計に。でも、遺産で生活は出来るから……」

キリカ「あそこに住んでた、ってか。……だったらよ、ココに住まないか?」

織莉子「……え?」

キリカ「ここの部屋、無駄に広くて、私とゆまの二人暮らしでも空き部屋が出来るんだよ。うちの父さん、親馬鹿でさ。生活費だったら、うちから出せるし」

織莉子「……なんで、あなたはそこまで優しいの? 私のお父様は、汚職にまみれた政治家で、私は、周りから厄介者扱いされて……。私は、生きる意味がないのよ。だったら、こんなことには……」

ゆま「そんなことないよ」

織莉子「……ゆまちゃん?」

ゆま「私、キリカお姉ちゃんの家に、里子で来たの。前の家では、お母さんに虐められてたの」

織莉子「え……!?」

ゆま「その時、私も、お姉ちゃんと同じようなことを思ってた。お母さんに捨てられて、施設に行ったけど、同じように親戚の人から邪魔者扱いされた。けれど、キリカお姉ちゃんと、キリカのママとパパが、私を助けてくれた。最初は怖かった。どうせ、私はいらない子って言われて、また捨てられるんだって。でも、キリカお姉ちゃん達は、私に優しくしてくれた。でね、キリカお姉ちゃんが言ってくれたんだ。『今の私には、ゆまは必要不可欠な存在、可愛い妹だ』って」

キリカ「私も、ゆまと触れ合って、教えてもらったんだ。私、この世界が嫌いだったんだよ。人と人とが疑いあって、傷つけあう、虚ろな世界だって。けど、ゆまと出会って、変わったんだ。無色だった日常が、彩り豊かになった。で、昔の自分を振り返って、分かっちまったんだ。本当はただ臆病なだけで、理由を押しつけて、ずっと逃げてたんだって。けれど、ゆまは現実から逃げずに、生きてきた。で、思ったんだ。妹分に負けられるかって。そしたら、学校に行くにも、外に出かけるのにも、すっごく面白くなった!」

ゆま「お姉ちゃんが見えてる世界は、多分、昔の私と一緒で、まだ狭いんだと思う」

キリカ「でもよ、見えてる世界は今見えてる範囲だけじゃないんだ。絶対に、救いはあるんだ。生きる意味なんて、後から探せばいいじゃん! 見つからなかったら、私が一緒に探してやるって! だって、私があなたを、友達だって勝手に決めたからさ!」

ゆま「ゆ、ゆまも手伝うもん!」

織莉子「……いいの? だって私は……」

キリカ「言っただろ? 勝手に友達として認定したって! 私のしつこさは美滝原中学一だからね!」

織莉子「……ありがとう、あり、がとう」グスッ




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