過去ログ - 台本を数行書いたら誰かが地の文付きで描写してくれるスレ
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)
2012/03/29(木) 01:22:11.19 ID:u+Xt+Xpg0
>>3
>>17見ちゃったら書くしかねえ
謎のライバル心を燃やす俺


女「ねえ」

 昼休み。
 屋上でふたり、弁当を食べ終え、並んで横になっていた。
 雲ひとつない空の下で、女がおずおずといった様子で口を開く。

男「なんだ」

 満腹の腹とゆるゆると降り注ぐ陽の光のせいで、ほどよい眠気に襲われていた俺は、少しぶっきらぼうな返事をしてしまう。
 本当は眠くてぼーっとしているだけなのだが。
 女はそんなこと気にも留めず、言おうか言うまいか、けど、ううん、とかそんな感じでもじもじしている。

 空が青い。

女「僕、思ったんだけどさ」

 やがて再び口を開く女。

男「おう」

 さっきより少し強まった眠気に流されそうになりながら、返事。

 空が青い。

女「……僕って一人称、やっぱり恥ずかしいよね」

 女の顔は、赤い。

男「自覚してたのか」

 体を横に向けて、ほんのりと頬を赤く染めた女を見る。

女「やっぱり恥ずかしい事だったんだ……」

 落ち込んだように少し縮こまる。
 小さい頃から一緒の幼馴染み。昔から活発で、そのくせ家庭的で、弁当が美味い。
 昔から、一人称は「僕」。
 恥ずかしいことではない、と言ってやれたらどんなに良いか知れないが、バカ正直な俺は、

男「リアルでやるには、痛々しいとは思うぞ」

 ドストレートをミットに放り込んでしまった。 

女「うう……治した方が良いよね……」

 いや、そこまでではないでしょうが。
 そもそも、「あたしさー」とか言ってくる女。
 
 怖い。
 
 ギャル(死語…?)っぽいのは苦手だ。
 活発とバカ騒ぎは違うのだぜ。女は、前者。俺の好み。
 だから、一人称なんか、俺にとっちゃあ些細な問題。

男「……まあ、個性的っちゃあ個性的だからな。そこまで気にしなくとも良いんじゃないか?」

 しかしバカ正直な俺は、こんな気休めのようなことしか言えなくて。

女「!……あ、……ありがとう」

 それでも、ぱあっと顔を輝かせてくれる女がそこにいて。

男「……ふん」

 なぜか拗ねたようにそう口走ってしまう俺を、にこにこと眺める女がそこにいて。
 俺の顔も、赤い。
 

 俺は再び空を見上げる。
 空は青い。

 一緒に過ごして十七年。付き合い始めて二年と少し。

 まだ空は、青い。


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