過去ログ - 黒井社長「行くぞっ!!青二才っ!!」(アイマスSS)
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2012/03/29(木) 12:14:41.04 ID:lnWJ8GSr0
「間違いありません。でもどうしてわかったんですか社長?」

「いや、昨日会場で見た時から気にはなっていたんだ。精神的に疲れ切っていて俯いてる女の子達の中で、彼女だけがしっかりと前を見据えてい
たからね。最初は強がりかと思っていたのだが、彼女だけはずっと敵意のこもった眼差しを会場の客達に向け続けていた。涙目ではあったがな」

そりゃあエロジジイ共の前に裸同然の格好で晒されるんだ。年頃の女の子なら恥ずかしいに決まってる。

「まあ他にもムダな贅肉が一切ない、しかしそれでいて出る所は出ている抜群のプロポーションをしていたしな。ウチの所属アイドルに欲しいく
 らいの逸材だったぞ」

「後半は置いといて、ムダな贅肉が一切ないということは相当鍛えていたということですか?」

「ああ間違いない。あれはダイエットやダンスで作った体では無かったな。おそらく彼女は……」

「裏か表かは分かりませんが、おそらくスパイか同業者でしょうね。プロでしょうか?」

カウンセラーの報告書を読みながら俺は分析をする。鍛えられた肉体、落ち着いた態度、そして脱走後の偽装工作など、実際に彼女を見た社長の
話と突き合わせると、どうも只者ではない気がする。というか保護施設は厳重ではないが、一応監視システムが付いている。それをかいくぐって
脱走するなど、普通の女の子に出来るわけがない。

「我々のように、誰に知られるでもなく犯罪を未然に防いでいる組織は他にもあるからな『少女A』がどこの工作員かは知らんが、彼女の組織の
 潜入捜査とウチの作戦がかち合ったのだろう。相手側は邪魔されてご立腹かもしれんな。ハハハ」

「笑いごとではないですよ。もし『少女A』がサイレントテロリストだったら、こっち だってタダでは済まなかったかもしれないですよ。戦闘
 教育を受けた子供は、感情抜き に作業のように人を殺しますからね。ウチのヤツらでも油断したらやられちゃいますよ」

「まあそうだな。とりあえず大丈夫だとは思うが、一応『少女A』の捜索は続けておけ。子供だからと油断しないように」

「了解しました。それでは社長、本日の予定ですが……」

「ああ、午後から京都に向かう。遅れる事は先方には既に連絡済だ」

「かしこまりました。それでは車を手配します」

とりあえずこの件はひと段落した。実は作戦行動中のトラブルや襲撃はそう珍しくない。ただ今回は救出した少女が脱走するという前代未聞の事
態だったのでやや焦った。脱走した少女は実はプロの工作員でしたということで、ウチの施設から逃げ出しても彼女なら自力で何とかするだろう。
無事ならそれで良い。


***


京都に着いたのは夕方だった。途中「新幹線で移動など、黒くなぁ〜い」などとワケのわからんことをほざいていた社長をなだめたりと色々面倒
くさかったが、何とか京都に到着した。ちなみに目的地は西日本最大の陰陽道の大家である『四条の御屋敷』である。表にも裏にも絶大な力を持
つ四条家は、京都の守り神として、各方面に多大な影響を与え続けている。ちなみに今回のアイドル事務所設立の手助けをしてくれるのが、この
四条家だったりする。天下の四条家にアイドル事務所設立の手助けをしてほしいなどふざけた事を頼む大馬鹿者は、後にも先にもウチの社長くら
いのものだろう。それを了承する四条家も大概だが。今日は改めてそのお礼と、もうひとつある目的の為に来た。

「ココに来るのも久しぶりだなぁ〜。フ、京都……我が青春を思い出すよ」

「何修学旅行で来たきりみたいに言ってるんですか。先月二回も来ましたよ」

「ん?私は修学旅行は奈良だったが」

「そんな事はどうでも良いんですよっ!!先方待たせているんだからさっさと行きましょうっ!!」

いい加減ツッコミ疲れてきた。ただでさえ新幹線でイライラしているのに、これ以上ボケるんじゃねえっ!!

「ああそうだな。今宵は綺麗な満月だから、彼女の機嫌も良いだろう」

「そうですね。『ツキコ』元気にしてるかなあ……」

そう、俺と社長は“ツキコ”という少女に会う為に、ここに来た。事務所設立のお礼も大事だが、ぶっちゃけこっちが主目的だったりする。
そして平安時代から続く陰陽道の大家がウチの社長の様な妖しさ満点の新興組織に力を貸してくれているのも、この『ツキコ』のつながりがある
からなのである。いつも様子を聞くだけで本人には会えないのだが、それでも「今回はもしかしたら……」と期待してしまう。その経緯は長くな
るので、後程話そう。




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