30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/03/29(木) 17:55:57.11 ID:TOjhpbtQ0
男は、思わず息を呑み、固まった。
女「…………どう?これで満足?」
男「え、あ、いや」
女「ふふ。切り傷でもあると思ったのかしら」
男「いや……」
女「見てのとおり、古傷はおろか痕さえ無いわ」
その通りだった。
女の腕はいたって綺麗で、素人目で見ても、とても切ったことがある腕とは思えなかった。
女「なんならもっと調べてみる?」
男「いや……え、じゃあ……あれは何で?」
女「何のこと?」
男「だって……だって、あの時! 俺の傷を見て、“自分が情けなくなる”って!」
女「…………あぁ」
男「あの言葉があったから、俺はてっきり、女も……」
女「リストカットをしていると思ったわけね」
男「……う、うん。だから、傷が、利き腕じゃない左手にあるだろうと」
女「……ふん。なるほどね」
それっきり女は押し黙り、袖を元に戻した。
……また女を怒らせてしまったかもしれない。
男は罪悪感で俯いた。
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