31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/03/29(木) 17:59:13.88 ID:TOjhpbtQ0
女にどう謝ろう。
そう悩んでいると、不意に女が、ふふ、と微笑んだ。
男は驚いて顔を上げる。
女の表情は何故か、諦めや達観を思わせる、悲しげな笑みだった。
女「つまり男くんは、私がケイティのように“秘密の儀式”を行っていると、そう思ったわけね」
男「うん、まぁ。でも、違った……」
女「いいえ。男くんは間違ってないわ」
男「え?」
教室に朝日が差す。
女の艶やかな髪がさらさらと揺れた。
女「“自傷行為”って言葉は、単にリストカットだけを意味するものじゃない」
女「そう言えば、分かるかしら」
女「……傷も、痕も、証拠も、何も残さない、自傷行為だってあるのよ」
そう言って、尚も女は微笑む。
ゆらゆらと風に乗るセミロングの髪が美しい。
その姿は、何か、女が背負っているであろうものなど、微塵も感じさせなかった。
男「何も残さない、自傷行為……?」
女「ええ」
男「傷も、痕も、証拠も……」
女「ええ」
男「…………」
男「そうか……」
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