528:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/11/04(月) 16:52:02.05 ID:oSVf7ZO3o
「なるほど。ときに若人、質問がある」
「奇遇だね、僕もあんたに訊きたいことがある」
『なんじゃなんじゃ、男同士で見つめ合って。そなたらアレか、そういう趣味か』
男二人は沈黙し、見た。
アイザックの胸元にしがみつく、小さな女の子。
デフォルメされた頭身で、そのくせメリハリのついた体型は彼らの知る亜人種には
該当する物はない。それが黒タイツに黒のレオタードついでに黒のウサ耳ヘアバンドを
装着しているのだ。登記のように真っ白な肌と艶やかな黒髪は、これが7頭身以上
あればと青年実業家が思わず唸るほどである。
「君は、誰だい」
『ご指名いただきました、キャバレー暗黒神殿のウサミちゃんです──ではなくて。
この場合は太陽の三姉妹が眷属、風魔王が直臣の一、夜兎埜神こと死神ヘルでも
良し。私のことは好きに呼ぶのじゃ』
「若人、召喚に失敗したようだ。急いで次の術式を用意させる」
「よしきた。魔力は多少は減ったようだが爆発的に消費して枯渇させないとまずい、
いったん退却して作戦会議だ」
「応」
『おいこらまて二人とも、私の顕現で特異点そのものは消滅しているぞ。もっとも範囲外に
拡散していた魔力が収束して再度特異点にならぬよう地下の化石獣たちに注ぎ込んで
カンブリア爆発も真っ青の生命混沌が誕生しているからな、逃げるに越したことはない』
「え」
「は」
ウサ耳少女のすっとぼけた説明の直後。
動きを止めた古代樹の代わりに、全長数メートルを超える巨大な外骨格生物が
無数に地面から飛び出してきた。
『この世界においては約三億年ほど昔の時代に君臨した魚類や両生類ついでに爬虫類の
一部と昆虫類が、悠久の時を経て蘇り大地に君臨する!』
「おお、なんという浪漫!」
「言ってる場合かあ!」
妙な部分で浪漫を刺激されたか感涙する青年実業家の襟首をつかみウサ耳少女を
貼り付かせたまま、アイザックは力の限り走り出しその場からの逃走を開始した。
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