22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/04/01(日) 21:39:18.82 ID:REiU83pN0
 ――わたしの知らないところで、家族全員が死んだ、と聞いた時、わたしの心に生まれたのは、ほんの少しの安堵と、果てない絶望の混沌であった。 
  
 ――家族が死んだ。母も、姉も、そして父も。わたしを縛るものは何もない。 
  
 ――そう、そのはず、だ……。 
  
 ――なのに、わたしはすべてを捨てきれない。 
  
 ――覆いかぶさった仮面を、私は捨て切れていない。 
  
 ――なぜ? もう、必要性のないものなはずなのに……? 
  
 ――いや、必要だと理解していたから、わたしは捨てなかった。 
  
 ――周囲は、自分をどう見てくれているのか? 
  
 ――気の利く優等生、優良生徒の見本、学生としての憧れ。 
  
 ――いや、これらはわたしが作りだした虚像にすぎない。 
  
 ――じゃあ、なぜこれを捨てるといけないのか? 
  
 ――依存しているのだ。 
  
 ――この虚像に隠れていることで、わたしはやっと安心できるのだ。 
  
 ――矛盾している。 
  
 ――そんなこと、とっくにわかっている。 
  
 ――でも、矛盾する存在、それがわたし。 
  
 ――真実を見た者は、必ず絶望することであろう。 
  
 ――その矛盾は、おそらくは優しい矛盾なのだ。 
  
 ――誰も真実を知らずに、わたしから離れていく……それでいい。 
  
 ――そう、それで…… 
  
 トライアルD「ギゲェーーー!!」 
  
 綾辻「……え?」 
  
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