過去ログ - 打ち止め「失恋でもしたの?」一方通行「……かもな」〜外付けHD〜
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230:ガールズフレンドシップ[saga]
2012/05/20(日) 06:28:27.19 ID:9TZ48rtP0


「何謝ってンだよ?」

「ですから…」

「感謝する前に卑屈に謝ってンじゃねェ」

「感謝…ですの?」

「当たり前だろ。こっちはヤバイところ助けられてンだよ。礼ひとつも出来ねェ程落ちちゃいねーよ」


足が悪いのだろう、少女は落ちていた杖を拾い上げる。




「……ありがとうな」




外見とは裏腹にハスキーな声でぶっきらぼうに放たれた言葉に黒子はびくりと肩を震わせる。
それは言われ慣れているつもりだったはずの言葉。
それなのに、これ以上なく今の黒子にとっては不意討ちで思いがけないプレゼントであった。
照れ臭そうに逸らされた瞳、きっと不器用な少女なりの必死の感謝の態度なのであろう。
そんな態度に、自分がすっかりと救われていることに気付いた。
そうか、自分は何の為に戦っているかなんてわかりきっている事じゃないか。
いつもいつも、自分の正義のためと自分自身に言い聞かせてきたが、こんなにも簡単な答えがあった。


「こちらこそ…ありがとうですの」


守るべきか弱い人がこうして無事である事、その為に自分は頑張っているのだと。


「何でオマエが礼を言うンだ?」

「ふふふ、こちらの事情というやつですの」

「ハッ……変な奴。けど、オマエ大した奴な…きっと大変なンだろうけどよ、その、頑張れよ」

「はいですの!」


励まし、応援してくれる人がいる。
自分の頑張りは決して無駄ではないのだ。
それがわかっただけで、何かが変わったというわけではないのに黒子の心は晴れ晴れとしていた。






「お名前くらい聞いておけば良かったですの」


無事に立ち去るのを見届けてから黒子は少しだけ残念そうに呟いた。





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