883: ◆72cuWZiGoBc/[sage]
2012/10/06(土) 07:15:44.31 ID:VAbzMSTAO
P「へぇ、じゃあ隣の町から」
貴音「はい。駅までは家の者に送ってもらったのですが、そこからあの公園まで迷ってしまい…」
駅からあの公園まで歩いたのか。でも更にウチの近くまでって、結構距離があるぞ。
駅の位置を頂点aとしたら、さっきの公園はbで我が家がcの正三角形になるくらい。
P「足痛くないですか?」
貴音「これしきの事、あの方に出逢える喜びと比べましたらいか程にも」
凛と澄ませた笑顔で、苦を苦とも思わず歩いている。
カジュアルな恰好と言うわけでは無く、行動が多分に制限される和服を着ていての歩み。
いったいどれほどの想いがあって、この人はここまでやって来たのだろう。
P「多分、もうすぐ着きますよ」
貴音「真ですか…?」
大分家に近付いてきて、あとは我が家までなら曲がり角1つというところで、
3歩後ろを歩いていた女性に声をかけた。
女性はゆっくりと深呼吸をすると、また深くお辞儀をしてくる。
貴音「斯様に入り組んだ道程、私ひとりでは到底辿り着けなかったことでしょう。真になんとお礼を申せば良いのでしょうか…」
P「いやいやいや、実は入り組んだ道を歩いてたのは近道するためで、直線距離ならもっと解りやすいですよ」
わかる限りの全力でショートカットを歩いてきた。あたかもサンダードリフト走行のような道筋だったけれど、時間で言えばかなり短縮になったはず。
貴音「その様な気遣いまで…」
うぅん…。
古風な人だとは思っていたけれど、このひとは恩や義理をとても大事にするひとらしい。
格好つけて道案内を申し出ただけの自分としては、ここまで感謝されてしまうと何やら後ろめたさを感じてしまう…。
P「──ほ、本当にあと少しですから、行きましょう」
貴音「はい。最後まで面倒をお掛け致します」
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