15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/04/09(月) 21:42:35.08 ID:Bm6Pf+8o0
  
 小さな現地魔族に続き、おそるおそる小屋に入る。 
  
 頭をぶつけないように、慎重に入る。 
  
 間口は低かったが、中は辛うじて立っていられる高さが確保されていた。 
  
  
 外観と同じく、主に周辺の木材を利用した簡素な造りの小屋。 
  
 壁には何かしらの道具が、釘らしきもので沢山吊るされていた。何に使う道具かはわからない。 
  
  
  
 「……言葉、わかる?」 
  
 『む?』 
  
  
 現地魔族が声をかけてきた。こちらを見ている。 
  
  
 「言葉よ……こ、と、ば」 
  
 「…コ、…ト、バ」 
  
 「!すごい、真似は出来るのね!」 
  
  
 現地魔族は手を叩き合わせて跳びはねた。 
  
 私が文明の民であることを理解してもらえただろうか。 
  
  
 …それにしても、非常に発音の難しい言語だ。 
  
 喉からクチバシの先にかけて、普段は使わない部位を振るわせるような音が必要だ。 
  
  
  
 「人の言葉がわかるってことは、あなたきっと、悪い魔族じゃないのね」 
  
 『…すまない、何か、食べるものを……くれないか』 
  
 「? カァカァいっても、わからないわ…」 
  
 『……』 
  
  
 私は爪で自分のクチバシを叩いた。 
  
 クチバシを開き、内側も軽く叩く。どうか、摂食のメカニズムは一般的な相手であってほしい。 
  
  
  
 「えっと、え……あ!食べ物!食べ物がほしいの!?」 
  
  
 私の身体の動きで、思いは通じているのだろうか。 
  
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