23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/04/11(水) 22:26:20.14 ID:Xc6OUb7/0
装飾の無い部屋で夢想する。
不気味なほどに飾られない場所だからこそ、私の夢想はより強く働いた。
見知らぬ異島で孤独になったとしても、私はこの部屋では構想を練ってしまう。それは彫金師の性である。
この部屋に入れられた彫金師ならば、誰であれ、どんな状況であれ、考えてしまうはずだ。
“この部屋に何をどう彫るか”と。
広さは十分にある。石の厚みもなかなかのものだろう。
床を爪の背で叩いてみると、詰まった音が聞こえる。材質も申し分ない。壁も同じか。
並列する金属の丸棒とその扉だけは材質が悪かったが、これらには手を付ける必要はないだろう。
『いやしかし、私は工具を持ち合わせていない、金属も加工するべきなのだろうか』
私はおもむろに鉄の並列棒に腕を伸ばし、そのうちの一本を上下の根元から爪で切り取った。
手にとってある程度の質量を量ってみても、やはり低質な金属であることが把握できたのだが、石よりは硬いだろうし、この鉄棒を加工する事に決めた。
『この部屋の主の現地魔族が来るまでは、部屋に彫り物でもしておこう』
私の作業は、鉄棒を縦に4等分に裂くことから始まった。
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