過去ログ - 「クァルケル=ガ=クェチカ」
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30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/04/13(金) 20:53:17.10 ID:jqj/x2ET0

「新種の魔族を檻にだなんて、もっと丁重に扱うべきですよ」

「発見者から聞いた話では、知識ある魔族だそうです、緩い管理はできません」


現地魔族の声が近づいてくる。

コミュニケーションを取りたい気持ちもあったが、今はこの手が決まっている。

今手を休めれば、腱が絶妙な力の加減を忘れ、インスピレーションの繊細さもかき消える。


カァチルの長ですら、我々彫金師の作業途中を邪魔することはできない。

創る者は全てに優先されるのだ。



「え?これ……」

「な、なんだこれは!」


現地魔族の足音が背後で止まり、大きな声で会話をしている。

私に出ろとでも言っているのだろうか。


しかしそれはできない相談だ。今の私はカァチルの掟に保護されている。

誰も私のこの作品への情熱を絶やすことはできない。


「なんてすばらしいレリーフなの…」

「なんとこれは…言葉が出ない」


何を言われようとも、私はこの手を休めることはない。



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