31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/04/13(金) 23:30:11.39 ID:jqj/x2ET0
「素晴らしいレリーフね…あら、柵が無い。失礼するわね」
「ちょっと博士!危険です、困ります!」
こつこつと石が鳴る。
一人が棒の隙間からここへ入ったようだ。
「…これは、やっぱり。鳥人族と聞いてまさかとは思っていたけれど」
私の隣にまで来て、そこに座り、私のレリーフを眺めはじめた。
彫金を習いたての子供にそっくりだ。
「えっと、あなたはカーチル族の方?」
『!』
聞き覚えのある単語に、私は一瞬身が固まった。
カァチル。危うい発音だが確かにそう聞こえたのだ。
作業の手も止まり、横に並ぶ現地魔族と向かう合う。
紺の髪、暗い月色の目。
薄汚い焦げ色の布を体に纏った者だった。
『そうだ、私はカァチルの者だ!カァチルを知っているのか!』
「え、ああああっと、ちょっと待って、…えーっと」
「あ〜…『カーチルの昔の話を勉強しました』、かな?」
『!』
この者はわずかではあるが、我々の言葉を使えるようだ。ありがたい。
大きな恵みに巡りあえた。
439Res/300.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。