38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/04/19(木) 19:52:42.29 ID:TW94epNp0
紺色の髪のニンゲンが群衆から私を守るように、短い腕を広げて立ちふさがった。
小さいながらも雄々しいその姿は、ニンゲンの群れの中でよく映える。
「カーチルは友好的ではないですけど、古い文献によれば知的で文明的な種族です、失礼ですよっ」
高く細い声は大勢を黙らせた。
「…ティナさんが言うなら、まあ」
「悪かったよ」
「わかっていただければいいんですけど」
紺髪のニンゲンが私の袖羽根を摘む。
やわらかな皮膚の指に、この羽根を毟る力はないだろう。
「さ、とりあえず…あ」
「えっと、『次にあなたの住居に行きます』…ね?」
言葉が拙いが、不慣れなのだろう。
逆に、交友の全くない我々の言語を、よくぞここまで使えるものだと感心した。
『ああ、連れて行ってくれ、ニンゲン』
「ふふっ…『ティナと呼んでください』ね?」
「……チ、ナ」
「ティ、ナ」
「ティナ」
「うん、上出来です」
ニンゲンの発音は、非常に難しい。
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