9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/04/09(月) 00:06:33.14 ID:Bm6Pf+8o0
小屋は小さかった。
小さな扉だ。かなり屈まなければ中には入れそうにない。
彫金作業をする分には座るので問題はないだろうが、生活環境としては最悪の高さといえる。
薄い木の板を並べて張り合わせた外壁は、外見の良さというものを一切眼中に置いていない粗雑なもの。
港の近くは砂鉄が吹き荒れるのでこういったものも多いが、しかしここまで内陸にあるのであれば、もっと趣向を凝らした小屋にしてもいいのではないだろうか。
『…』
腰をかがめ、窓を覗く。
ランプに明りが灯っている。中には文明を持った生き物がいるようだ。不在ではないらしい。
我々の言語が通じればいいのだが、とりあえずは中の者に助けてもらおう。
小さな扉を4回ノックする。
『カァチルの島の者だ、助けてくれ』
声をあげると、小屋の中から物音がした。
家主が私に反応を示したようだ。良かった。
「カァカァうるさいわね、なにかしら…」
薄い扉を隔て、家主の声が聞こえる。知らない言葉をごちゃごちゃと言っていた。
そして小さな扉が開く。
「……え」
『カァチルのクァルケル=ガ=クェチカだ、助……』
扉の向こうにいた、扉よりも小さな。薄桃色の肌の生き物。
「…きゃぁああああ!!」
その魔族は、牙をむき出しにして、目を見開いて私を威嚇した。
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