過去ログ - ランサー「ゲイ…ボルグ!」アンリ士郎「アッー!」
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209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/29(日) 17:34:36.61 ID:HMMzEp0c0

 急停止した『双子』は着地を忘れたみたいに数秒間、やや腰を落とした前傾姿勢でじっと宙に浮かんだままになっていた。
 理髪店の椅子に掛けたまま、九十度前方に回転させた状態である。その姿勢のまま、肩越しに保根を振り向き、


「僕たちのことばれてたのかな?」
「まずいじゃないか」


「……」


 さりげなく答えてはみたものの、『双子』は内心すくんでいた。腸間膜がひんやりと冷えていく。
 すぐ手の届くところに、当然のように浮遊している人間。嗅覚、味覚、聴覚、視覚の全部がいっせいに降伏の白旗をかかげてしまう。
 妖怪に接した恐怖というよりは、教室のなかで先生の無言の威圧に生徒たちが示すような静寂の緊張感。
 目上の人に凄まれたときの、畏怖の感情。
 人間にそっくりだが、何処かちょっとだけ違う異星人が出現したら、
 きっとこんな気分になるにちがいない。相手が気分を害したら、どんなめに会わされるか、まるっきり予想がつかないのだ。


「なぜ僕たちに気付いたんだろう? 魔力波欺瞞紙を構えて待ちうけているなんて、変だよ、こんな早期に……」


「夢現の中だというのに?? まだ彼はダンジョンでキーを得ていなかったと思うんだけど」


「可能性はあるさ……痛むな、だんだんひどくなってくる
 ……とりあえずジャムを抜きたい、胡椒の実を埋めたみたいに、ヒリヒリしみるんだ」


「そんな宙ぶらりんの姿勢で、平気なのかい? ベッドに掛けて楽にしたら?」


「うっかりしてたよ、気味が悪いんだろ? 
 たしかに魔力障害だからね。遠慮しないで、調べていいよ、覗くなり、くぐるなりして
 ……ふつうの手品とちがって、この妨害現象だけは、お題目だけじゃなく実際にたいした種も仕掛もないんだよ。
 魔術的に面倒なことだし、ぼく自身、頭を抱えているんだ」


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