過去ログ - ランサー「ゲイ…ボルグ!」アンリ士郎「アッー!」
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226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/29(日) 23:27:51.73 ID:HMMzEp0c0
 たとえばどこか田舎の郵便配達夫の話。
 まだスクーターが普及せず、自転車で配達にまわっていた時代のことである。
 仕事の途中で気に入った小石を拾う趣味にとりつかれた。


 あらぬ噂をたてられないよう自制して、一日五個以内にとどめることにした。
 それでもやがて村外れに、貯蔵用の空き地を購入しなければならないほどの量になった。


 城の建設でもする気かと村民たちからからかわれた。
 そのからかいに従って、定年後はその石で城の建設をすることにした。
 十年かけて童話ふうの、あるいはディズニーランドふうの城が完成した。
 城には廊下も階段もあるのに、部屋がなかった。住むための城ではなく、ただ見るための城だったのだ。
 老いた元郵便配達夫は庭にテントを張って寝起きし、ひたすら城を眺めるだけの充足の日々を送った。
 いよいよ臨終を迎えたとき、肉親知人にたいして深く詫びたそうだ。なにを詫びたのかはけっきょく誰にも理解できなかったようだ。


 なんていうとるに足らないつまらない話を思い出しながら


 双子は、やっと肩の緊張をぬき、呼吸数も平常なみにもどした。
 予想したほど、脅威度がひどくないのに気付いたからだ。
 ドアから見て、右手にやや大きめのクローゼットがある。
 もし彼がここに身を潜めているとしたら、そこしかありえない。
 ラッカー塗装の板戸が半開きになっている。下段はがらくたで埋まり、溢れださんばかりだ。
 潜伏場所としては、この奥が最有力である。しかしここからでは隅っこまでは目が届かない。


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