過去ログ - 姫子「グッド・ラック」
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47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県)[sage saga]
2012/04/16(月) 20:56:05.43 ID:jhabFmV8o


とても憧れているルポライターがいる。
その人が一番最初の旅に訪れた場所が北海道だった。
船で釧路港から入り、バイクと共に道東から道北にかけて走ったらしい。

らしいというのは、その北海道の旅を記事にしていなかったから。
どうして知っているのかというと、その人と出会って直接聞いたから。
断片しか聞いていなかったので、細かいことは知らない。

出会って最初の印象が人懐っこい人だと思った。
明るくて笑顔を絶やさなくて、
それでいて背負っているものが大きいのに、そんな自分を見せることは無くて。

それがこの人の強さなんだと知った時、とても惹かれてしまった。
天真爛漫な人柄に憧れてしまった。

それからその人が書いた記事を読み始めた。
親父の趣味がバイク関連だったので、載っている雑誌を探すのに苦労はしなかった。

身近にある宝物に気づかない過去の自分に教えてやりたい。
でも、あの時に出会わなかったらそれもただの文字列だったのかもしれない。
それはそれで悲しい。

そんなことを考えていると風子から声がかかった。


風子「姫ちゃん、一人で大丈夫?」

姫子「うん、バランスも悪くないから大丈夫だよ。このまま船から降りるよ」

風子「おっけぃ」

姫子「わたしの分の手荷物お願いね」

風子「これくらい大丈夫だよ」

姫子「じゃあ、降りたら駐車場にいるから」

風子「うん。すぐ見つけるよ」

姫子「……」

風子「……」


姫子風子「「 それじゃ、後で 」」


二人の声が重なって、笑いあう。
とても気分がいい。

風子は別の出口に向かう。歩いて降りるためだ。
わたしはここ、車両甲板から降りる。

もう一人の相棒と共に。

あの人もここから降りたんだろうな。
一台のバイクと共に。
今のわたしと同じ気分なんだろうか、と想いを巡らせる。



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