過去ログ - 友「暇だなあ」 男「そうだな」
1- 20
88:詩は表現などを勝手に改変してます。幼馴染2ごめん
2012/04/27(金) 01:07:18.45 ID:a/XotnIk0

彼女がおもむろに口を開いた。

「あのさ、もしも私たち人間がいなくなっちゃったら、空はどうなると思う?」

「急に何だよ」

唐突な問いに戸惑い、とりあえず苦笑を顔に貼り付けて、彼女に目を向ける。
彼女の瞳は雲の裂け目に吸い込まれたままだった。真剣な瞳は吸い寄せられたまま、僕に向けられることはなかった。
仕方なく、僕は思考を働かせる。彼女のガラス玉のような瞳を僕へと向かわせるために。

「何も変わらないんじゃないの。綺麗なまんま」

暫くの黙考の後、それなりに納得できる答えを口にした。

しかし、彼女はかぶりを振った。美しい瞳は僕に向けられなかった。

「もっと、綺麗になるんだよ。息も、心臓も止まってしまっちゃうくらい」

華奢な指先が窓を慰撫する。
まるで遠くの青空を労わるように。


「人間はね、空を汚し過ぎるの。要らないものばかり、自然に放るの。飛行機は、優雅に飛ぶ鳥じゃない。ビルや建物は、静かな陰を落とす木々じゃない。光化学スモッグは白淡な雲じゃない。街の灯りも、ネオンサインも、煌めく星じゃない」


無表情のまま、彼女はそう語った。

僕は押し黙る。

言葉は続く。

「自然の産物が一番美しい。人間はそれを知ってるはずなのに、蹂躙してしまう。空にとって、自然にとって、地球にとって、私たちは、いなくても構わないモノなの」


ーー彼女の言葉に耳を傾けている内に、雨の音が止んでいた。

僕はずっと彼女に向けていた瞳を、窓の外に向ける。

陽が顔を出し、外に広がる世界は白く、美しく輝いていた。











<<前のレス[*]次のレス[#]>>
145Res/78.55 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice