過去ログ - 織莉子「私の世界を守るために」
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40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga]
2012/05/19(土) 15:57:14.31 ID:oO9qLT0Vo
 睡眠時間を削って勉強するのは当たり前、そのおかげで小・中と勉学の成績はトップを維持した。
コミュニケーション能力を磨き、事務処理能力を向上させ、中学では一年生の時から生徒会に入り主要な役職に就いた。
2年生後半からは、その実力が認められて生徒会長に抜擢されるほどだ。

 もちろん、その努力は学校の中でだけのものではなかった。完璧なお嬢様として存在するためには、洗練された所作が必要だ。
歩き方、座り方、襖の開け方、ドアの開き方、靴の脱ぎ方。
一般人なんかじゃ堅苦しくて投げ出してしまうようなその作法を織莉子は喜んで身体に刻み、ごく自然な動きとして完成させるまでに至った。

 他にも、美国家の一人娘たるもの無芸じゃだめだって言って、いろいろな稽古に血道を挙げたりもした。
華道、弓道、合気道、薙刀、琴、エトセトラ、エトセトラ。彼女はそのいずれにおいても高い成績を挙げた。

 そんなにまでぎっしりと詰まったスケジュールだ、彼女には遊ぶ暇なんか無かった。
でも彼女は、それで全てが良かった。
「美国のために」というプライドと、世のため人のため。それを実現させようとする父の一助として、自らをひとえに完璧と為すこと。
それこそが、美国織莉子の喜びだったからだ。

 そして、事実。彼女は極めて完璧に近かった。

 父の大事な客が来た時のことだった。

 織莉子は、ちょうど客の茶が冷めてくる頃合いを見計らって新しく注ぎに出向いた。
ただ言われたことを諾々とこなすだけでは完璧とは言えない。そういった心遣いというものが出来なければ、美国家の令嬢とは到底言えない。
だから織莉子は誰も気付かないような些細な事にさえ気を利かせ、まめな仕事をこなした。

「いやはや、さすが美国くんの娘さんだ」

 初老の、恰幅の良い彼は言った。

「これからも、父上の名に恥じぬよう頑張りたまえ」

 織莉子は、天にも昇るような気持ちになった。
自らが「美国」に相応しい存在であると認められることは、彼女にとって何よりの褒め言葉だった。
そしてそれは、そのまま彼女の「美国」という名を背負った事への誇らしさへと繋がったんだ。


 ――ほら、あの人よ。生徒会長で学年トップの、美国織莉子さん。

 ――なんて美しい方かしら。あの方とお茶をご一緒してみたいわ。

 ――美国会長は我が校の誇りですわ。


 だから彼女はいつだって有頂天だった。
美国の血統と、公への奉仕と、完璧であるべく努力する自分。
それらの全てが他者から認められ、称賛されること。
父であれ、学友であれ、そうされることこそが、織莉子の全ての努力の原動力だったんだ。


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