57: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:22:24.11 ID:gQCy6oSp0
「貴女も感じているでしょうけれど、私、学校ではあまり立場が良くないの。
そこでお願いなのだけれど、巴さんには、学校で私との接触を出来る限り絶ってもらいたいの。
もちろん、テレパシーには応じるしメールだって大丈夫だけれど、直接話すのは遠慮して頂きたいわ」
「私は――」
そんなの気にしないわ、そう言いかけて、織莉子が制止する。
「貴女まで、私の巻き添えになってあんな視線を受ける必要はない、私はそう思うの
皆が憧れ尊敬する"巴マミ"が、私みたいな鼻摘まみ者といっしょくたにされてしまうのは、私としても悲しいことだもの。
積もる話は、放課後の魔女狩りで、お願い、巴さん」
マミはとても悲しい気持ちになった。
誰かと話していてこれほど心躍る経験をしたことは、正直に言ってマミには無い。
"魔法少女"という同じ土俵の上で、これほど親しげに接してきた人物がいったい何処にいただろう。
目につく魔法少女たちは軒並み敵で、心の底からはらからを欲していたマミにとって、「美国織莉子」という存在はまさに劇薬だった。
だからこそ、これから彼女と学生生活を送れない事に、マミの心は酷く沈んだのだった。
それが彼女の優しさから来るものであったのだとしても、悲しいものは悲しい。
「せっかく同じクラスなのに……」
「まぁ、そう落ち込むなよ黄色いの。私らは何処にも逃げないし隠れもしない。お昼はいつも屋上にいるから、なんなら会いに来れば良いさ。
私は、誰の眼が有ろうと気にしないで、ただ織莉子を愛するだけだけどね」
結界から出た時の夕焼け空は、いつの間にか群青に染まっていた。
呉キリカのソウルジェムにそっくりな色だった。
通り道の繁華街ではネオンや街頭が煌めき、行き交う人々の喧騒に満ち溢れている。
この街を、人々を、自分"たち"は守っていけるのだ。そう、彼女と、彼女らと共に。
それはなんとも魅力的な話であるように、マミには思えた。
あと少しだけ二人と、より正確に言えば織莉子と一緒にいたいと思って、マミは思わぬ行動に出た。
「あの……!」
分岐で道を違え始めた二人に、マミは絞り出すような声を出した。
「もう、遅くてなんなのだけれど……良かったらお夕飯を一緒に、どうかしら……?」
織莉子とキリカは一度顔を見合わせた。
「ええ、ご一緒させてもらうわ」
「仕方がないなぁ。私は腹ペコなんだ、美味しいのを頼むよ?」
織莉子は微笑みながら、キリカははにかみながら言った。
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