6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:57:42.71 ID:D+xZ8dty0
廊下の、ちょうど人通りのない場所で、美国織莉子は言った。
「屋上まで連れて行って欲しいの」
「何か用事が?」
「ええ、ある人と待ち合わせをしているの。そこで、その子と、私。そして貴女とで、お昼ご飯を食べようと思って」
「なぜ私も?」
「話したい事があるのよ」
「それはここでは駄目なの?」
「できれば、屋上で」
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空はひどく澄んでいた。吸い込まれそうな、という表現がぴったりと当て嵌まるほどに。
他の高層ビルに劣らないほど高所にあるこの屋上には常に強い風が吹き荒れ、お世辞にも昼食を摂るのに適した環境だとは言えない。どんなに朗らかな天気だろうと、荒ぶる風が全てを吹き飛ばし体温を奪ってしまうからだ。そのせいで、屋上はめったに人の訪れる事のない、内緒話には最適な場所だったのだ。
それでも、春の暖かな太陽は朝のホームルームの時から変わらず健在で、確かな季節の移り変わりを示していた。
そんな空の下、
「お、り、こぉぉおぉぉぉぉぉぉっ!」
二人目掛けて突進してくる黒い物体があった。
いや、正確に言うならば、それは美国織莉子というただ一人をターゲットにしているのだろう。それは、彼女らが屋上へと足を踏み入れた瞬間に、まるで弾丸のような勢いですっ飛んできたのだった。
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