過去ログ - 織莉子「私の世界を守るために」
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93: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 04:11:37.92 ID:yIkrPX16o
 目の前で魔法少女が魔女になる様――予めパッケージングされたその事象を目の当たりにした対峙者たちの士気は、笑ってしまうくらいにガタ落ちだった。
自分もいずれ魔女になるのだと突き付けられたのだ、そもそも「魔法少女」という存在がなんであるのかすら考えたこともないだろう彼女らには、骨身に染みる事実だろう。

 織莉子と、未だ時間遅延の魔法を維持し続けるキリカの化身はあっという間に有利に立つと、敵対者たちを戦闘不能にまで追い詰めた。
心理的揺さぶりがかなり効いているのだろう、良い兆候だ。

 紫の魔法少女にしても、キリカの魔法と自身の未来予知とがはたらいている限り敗北はない。
やはり言葉にて追い詰める。精神の揺らぎは、何よりも大きな隙を産む。
激昂した彼女の背骨に水晶球を叩き込み、背骨を割る。これでしばらく動く事はできないだろう。

 これは誇示だ。私たちは事実を識り、尚も運命に抗おうとしているのだ。そう、お前たちと違って。

 私は魔法少女になった瞬間から、世界の滅亡を、自分の辿るべき末路を、その果てに在る魂の残滓がいかなる惨状を晒すのかを、繰り返し見せつけられてきたのだ。
私は、インキュベーターの言葉を借りるなら「希望を振り撒くべき魔法少女」という存在でありながら、希望を持つことが許されなかった。

 キリカと出会うあの日まで。

 そして今、私に希望を齎してくれたキリカは死に、別の形となって私に尽くし続けている。

 ことここに至った今、もう私には恐れることなど何もありはしない。
比して、対峙者たちには諦念の感が漂っている。もう抗す術はないだろう。

 あとは、鹿目まどかを始末するだけだ――。

 勝利を確信した織莉子を前にして、突如として翠色の光粉が舞う。
怪訝な顔になって見れば、そこには千歳ゆまがいた。

 回復能力特化型魔法少女の面目躍如といったところか、刹那にして3名の傷が完治する。

 幼子は言う、いつかは今じゃないよ、と。
ひとはいつか死ぬ、必ず。けれど、それは必ずしも"今"ではないのだと。

 その言葉が、他の魔法少女にいかなる作用をもたらしたのか、織莉子には分からない。
事実は、その言葉を皮切りにして対峙者たちの反撃が始まり、あっという間に形勢が逆転された、ということだ。

 馬鹿な、と思った。

 いつかは今ではない。けれど、それはいずれ必ず訪れるものなのだ。

 織莉子が反応した時には既に、3人の魔法少女たちの連携攻撃によりキリカの化身は吹き飛ばされ満身創痍にまでなっていた。
キリカ、と叫んで向かおうとするけれど、復活した紫の魔法少女・暁美ほむらが立ちはだかる。

「暁美ほむら……退けっ!」

 銃撃が頬を掠める。



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