過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:55:12.28 ID:t9IXALoJo

 彼女は考えた。どうしてわたしがこんな目に遭うのだろう? わたしはそんなにひどいことをしただろうか?
 いや、ひどいことはしたかもしれないが……それは"ここまで"だろうか。こんな罰を受けなければならないほど、悪いことだっただろうか。 

 彼女は部屋では泣かなかった。けれど、そこに居続けることは耐えられない。
 誰もいない廊下で、黙って窓の外をじっと睨んでいた。
 自分はどうしてこんなところに来てしまったのだろうと彼女は思う。


 やがて消灯時刻が近付き、教師が見回りにやってくる。
 彼女を見つけた学年主任は、どやしつけるような調子で言った。

「何をやってる。部屋に戻れ」

「部屋に戻れ」
「部屋に戻れ」
「部屋に戻れ」

 その言葉は、言われるであろうことを覚悟していた彼女の耳にも、おどろおどろしいものに聞こえた。

 部屋に戻れ。そしてお前を傷つける暗闇に帰れ。
 お前はそこで耐えればいい。大丈夫。"どんな苦しみだって問題だって、いつかは過ぎ去るものだ"。
 さあ、行け。存分に苦しめ。若いころの苦労は買ってでもしろと言う。つらい思いをすればするほど人には優しくできるのだ。
 大丈夫。涙の数だけ強くなれるさ。アスファルトに咲く花のように。
 全部、うそじゃない。本当のことさ。

 だから、戻れ。
 お前を損なわせる場所に戻れ。――お前を苛み傷つける、現実<カリオストロ>に帰れ。




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