過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/04/24(火) 23:21:47.82 ID:qSbSwrSBo

 彼女は諦めたように視線を落とし、サンドウィッチを口に運ぶ。
 その様子を横目で警戒しながら、俺は周囲をうかがった。
 
 場所はおそらく、うちの学校の体育館裏だろう。大きな切り株があって、俺と後輩はそれを椅子代わりにしていた。
 この場所でこんなふうに昼食を共にすることがあった。この日もそうだったということだろう。
 敷地を示すフェンスがすぐ傍にあって、その向こうは道路に面していた。

 俺は舌打ちをしたい気持ちをこらえ、道路に舞う花びらに目を向ける。

 付近に視線を巡らせると、やはり桜が咲いていた。枝を疎ましいほど広げ、花びらを路面に汚らしくまき散らしている。
 どうやら春らしい。こんなことは初めてだった。

 度を越えた驚きは、衝撃よりも呆れや可笑しさをもたらすものだが、俺は笑うに笑えない。もはや慣れてしまったということもある。
 
 後輩は何も言わなかった。何かに気付いた様子はない。
 結局はそういうことだ。俺が何かを忘れても、見失っても、誰も困らないのだ。
 外側さえ取り繕ってしまえば、誰も中身の変化なんて気に掛けない。そういうことがこの世にはごまんとあるらしい。



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