過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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288:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/09(水) 23:13:51.19 ID:VRpUIwhYo

「逃げるぞ」

 と俺は言った。ハカセたち三人は状況を飲み込めていない。俺も本当のところ、仕組みに気付いてはいない。
 舌打ちしたい気分だ。これが"カリオストロ"の嫌がらせなのだろう。

「どこへ?」

 と後輩が言う。彼女の声には緊迫感がなかった。
 そもそもなぜ逃げなければいけないのか、今、何がどうなっているのか、彼女は分かっていないのだろう。

 俺はトンボの背に隠れた鏡を見据える。一歩足を踏み出すと、猫ががなり声をあげて飛びかかってきた。
 右手の指先に強烈な痛みを感じ、咄嗟に振り払う。血が滴った。噛まれたのだ。

 四匹の仔猫は俺たちを囲んだ。トンボは高見の見物をしている。
 悪い夢でも見ている気分だった。たった四匹の仔猫に、どうしてこんなに怯えなければいけないのだ。
 俺の指は抉れていた。跳躍力を見た時点で分かっていたが、ただの猫ではない。

 俺はハカセとシラノを急き立て前に進ませた。彼らは状況を分かっていないながらも従う。
(俺は階段を"昇る"ように彼らを急き立てた)

 そうこうしている間も、猫は頭上を飛び交った。足に、腕に、首筋に、噛み付こうとしてくる。
 俺は避けるのに精一杯だった。自分がどうしてこんなことをしているのかもわからなかった。




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