過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:16:13.95 ID:JGE6sUjjo

「いいから貸してくれよ。俺は腹が減ってるんだ。飲み物を飲んでごまかしたい。百二十円でいい」

「こういうのもカツアゲって言うのかな?」

以下略



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:16:53.41 ID:JGE6sUjjo




 大男は名乗らなかったし、俺も訊ねなかった。
以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:17:21.54 ID:JGE6sUjjo

「電池切れてる」

 正直に言うと、大男はにやりと笑った。

以下略



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:18:18.36 ID:JGE6sUjjo

 彼の持ち物は大きな鈍色のアタッシュケースがひとつきりだった。
 それ以外のものは何ひとつ持っていない。アタッシュケースだけを抱えて、遠くの街から逃げてきたような風情だった。

 無性に興味を引かれて、ケースの中身について大男に訊ねてみた。
以下略



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:18:52.26 ID:JGE6sUjjo

 大男は呆れたように深い溜め息をついた。

「お前、かわいげってものがないね。もっと驚けよ」
 
以下略



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:19:42.88 ID:JGE6sUjjo

「アンタ、何してる人?」

「"アンタ"はないだろ、坊主。敬意をこめて"おじさん"と呼べ」

以下略



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:20:27.07 ID:JGE6sUjjo

「というか、まあ、金はもっとあったんだけどな。なくなっちまった。全部」

「どうして?」

以下略



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:21:50.08 ID:JGE6sUjjo




 俺は恵まれた人間だ。本当にそう思う。
以下略



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:23:01.79 ID:JGE6sUjjo

 何かの本で読んだ。人間が人間らしく生きていくには、"欲望"が必要なのだ。
 欲しいものが何ひとつない人間は生きていけない。生きていく理由がないからだ。目的がないからだ。
 
「理由なんかなくても」「目標なんかなくても」と言う人もいるが、この言葉はあまり役に立たない。
以下略



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:23:37.45 ID:JGE6sUjjo

 二年か三年、そうやって過ごした。すると不思議な顛倒が起こる。
「何も欲しがらない」という満たされているはずの状態に、奇妙な空虚感がつきまとうようになったのだ。
 まるで自分自身に「何もない」ような気がした。好きなものも嫌いなものも。

以下略



48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:24:32.30 ID:JGE6sUjjo




 準備を終えて家を出る。通い慣れた道を通り、学校へと向かった。
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