過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:24:07.38 ID:qSbSwrSBo

 不意に、隣に座る後輩が顔を上げた。俺は面食らってのけぞる。
 彼女は懇願するような表情で、「大丈夫ですよ」と言った。

「忘れないでください」

 俺の頭には一抹の罪悪感がよぎったが、それも一瞬だけだった。

 もはや、自分の中からは、さまざまなものが失われつつある。そのことを強く感じた。
 そして俺自身でさえも、もう何もかも失くして空っぽになってしまいたいと思っているのだ。

 もう、うんざりだ。こんな場所に居続けることは、もう無理だ。
 ここにはもう居たくない。楽になりたい。消えてなくなってしまいたい。

 いつまでこんな、果てのない砂漠のような場所を孤独に歩き続ければいいのだ?
 喉の渇きはいくら歩いたところで満たされるわけがないというのに、なぜ歩き続けなければならないのだろう?
 熱砂に沈み、干からびるのを待つ方がよほど理性的だ。
 どうせ何もかもが過ぎ去っていくだけのものなのに。
 
 こんな生活がいつまで続くというのだろう。

「大丈夫」と俺は嘘をついた。

「何の問題もないんだ」

 これは本当だ。何の問題もない。期待には応えてやればいい。答えられないなら、せめて、見破られない嘘をついてやればいい。
 それだけだ。それ以上のことは、何ひとつ期待されていない。ただそれだけのことなのだ。




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